仕事でつまずいているとき、誰かに相談したら意外な答えが見つかった、という経験はないだろうか。最近、自分自身もその効果を実感する出来事があった。
今回はその体験と、対話がいかに考えを深めるのに役立つかについて伝えたい。
対話がなぜ効果的なのか
たとえば、チームで作業を進める際に「このやり方で本当に合っているのだろうか」と悩むことがある。一人で考え続けると、気づかないうちに別の方向に考えが飛んでしまうこともある。そんなとき、メンバーに相談すると「こういう方法もあるのでは?」と全く違う視点を提供され、考えが整理される。
メンバー全員が課題に適した能力や知識を持っている場合にのみ効果があると考えるかもしれない。しかし、自分の経験では、相手がまったく知識を持っていなくても対話は有効である。ただうなずいてくれるだけでも考えが深まる。さらに、「それってどういうこと?」と質問されることで、説明する過程で自分の考えが明確になり、一歩ずつ前に進むことができる。
エピソード
ここでは、対話が役立った2つのエピソードを紹介する。ひとつは、自分が解に向けて進む際にある程度の知識を持っていたケース。もうひとつは、初心者としてほとんど知識がない状況で相手を助けたケースである。
解に向けて知識があったケース
仕事で他のチームへの依頼事項を整理する必要があった。この際、相手が下書きを作成し、それに対して自分が意見を述べてブラッシュアップを行った。このとき、依頼内容に関連する知識を持っていたため、必要な補足を加えることができた。相手にはない知識だったため、二人の知識を組み合わせることで、より良い成果を出せた。
このケースでは、自分の知識を共有することで対話がチーム全体の成果を引き上げた。異なる視点が補完し合い、最適な依頼内容を作成する助けとなった。
知識がほとんどなく、壁打ちの壁役になったケース
あるプログラムの仕様を検討していたときのケースである。自分にはそのプログラムの開発経験がなく、実現したいこともぼんやりとしか把握していなかった。一方で、相手はプログラムの知識もあり、実現したいこともおおよそ把握していた。相手が仕様案をいくつか挙げ、自分に説明した。自分はそれに対して疑問をぶつけ、相手はその説明を繰り返す。これを続けるうちに案が洗練され、最適な仕様が決定した。
このケースでは、自分が知識をほとんど持たない立場でも、質問やリアクションを通じて相手が考えを整理し、仕様を決定するプロセスに貢献できた。
提案
対話をする際、相手が自分よりも詳しい知識を持っている必要があると考えるかもしれない。しかし実際には、相手が詳しくなくても十分に役立つ。ヒントをもたらしてくれるだけでなく、説明する過程で自分の考えが整理されるからだ。
対話の前に、相手にどのような役割を期待するのかを伝えると、スムーズに進むことが多い。また、「10分だけ」といったように時間を区切ることで、相手も気軽に相談に応じやすくなる。
たとえば、仕事で行き詰まった際に、以下のように声をかけてみるとよい。
- 「このアイデアについて、10分だけ相談に乗ってもらえないか?」
- 「ちょっと話を聞いてくれるだけで大丈夫。整理したいんだ。」
短時間の対話を設定することで、集中して話し合う環境が作れる。
対話の相手は必ずしも人である必要はない。最近ではChatGPTのようなAIツールも活用できる。たとえば、夜中にアイデアが浮かんだとき、ChatGPTに相談することでその場で文章化のサポートを受けられる。特に、自分の考えを整理したり、視点を広げたりしたいときに有効だ。もちろん、最終的なアイデアのブラッシュアップは自分で行う必要があるが、AIとの対話が作業を進める助けになるのは間違いない。
終わりに
物事を整理する際、一人では行き詰まることがある。そんなとき、相談することで新たな視点やアイデアが得られる可能性がある。相手がその内容について詳しくない場合でも、対話を通じて意外な発見や進展が生まれることがある。
人に相談することは時に勇気が必要だ。しかし、一人で抱え込むよりも対話を通じて前進することで、新しい可能性が開ける。次に行き詰まったときは、ぜひ誰かと話してみてほしい。考えが深まり、思わぬ活路が見えてくるはずだ。
最近のコメント